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炭鉱事故と石炭火力発電のこと。 

 ロシアシベリア地域の炭鉱で25日火災があり、少なくとも52人が死亡し、同国最悪の炭鉱事故となっている。事故があったのは、モスクワの東約3500キロにあるケメロヴォ州のリストヴァシュナヤ鉱山。当局などによると、25日午前8時半ごろ、通気口内で石炭のちりが発火し、坑内に煙が充満した。炭鉱で働いていた285人の大半は、事故発生直後に避難した。

 坑内には数十人が取り残されたとされ、救助作業が行われたが、この日の日没までに救出することはできなかった。現場ではメタンガスが危険なレベルで検知され、爆発の恐れもあることから救助活動が中断された。ところが、救助隊の1隊が坑内から戻らず、その後に隊員3人の死体が発見された。報道によると、窒息死したとみられる。ロシアのメディアは複数の当局者の話として、坑内に残された人の生存は絶望的で、死者は50人以上に上っていると伝えた。うち6人は救助隊員だという。


 このニュースを聞いて、かつて日本でも同様の炭鉱事故が起こっていたことを思い出した。この「石炭のちりに発火し」というのは「炭塵爆発」と呼ばれている。空気中の炭塵は何かの火花で容易に発火・爆発する。1963年11月9日に福岡県大牟田市の三井三池炭鉱で発生した炭塵爆発では、死者458人、一酸化炭素中毒患者839名いう戦後最悪の大規模炭鉱事故になった。これらの被害者の補償は1998年に最高裁で確定するまで30年間も争われた。この事故をきっかけに三井三池炭鉱は力を失って閉山に追い込まれることになる。

 当時の炭鉱は典型的な危険な職場環境だった。現在なら3Kの見本のようなものだ。地下数百メートルという場所で事故が起こっても救出は困難で時間もかかる。坑内には有毒ガスが充満しているからすぐに救助に行きたくても行くことが出来ない。危険な閉鎖空間というばかりでなく、当時は労使の対立も激しかった。効率のみを優先し安全を軽視する企業体質も事故に結び付く大きな要因だった。その後も1965年には三井山野炭鉱ガス爆発事故では237人が死亡し、1981年10月16日には北炭夕張新炭鉱のガス突出事故では93人が死亡した。

 日本の石炭産業はこのような多くの犠牲の上に成り立ってきたのである。1952年には日本国内に1047もの炭鉱があり、最盛期の1940年には年間5600万トンも生産していたが、その後衰退し現在はわずかに北海道の釧路や石狩で年間120万トンが生産されているだけだ。しかし日本の発電の電源構成比を見ると未だに石炭火力発電は30%もある。石炭火力全廃が世界の趨勢だが、果たして日本が2030年までに石炭を全廃することが出来るかどうか。おそらく難しいのではあるまいか。現在日本はオーストラリア、インドネシア、中国、ロシアなどから年間1億8000万トンの石炭をを輸入している。オーストラリアなどはほとんどが露天掘りだが、日本の石炭は質はいいが地下深くにしかない。だから採掘にコストがかかり危険も伴う。それが石炭産業が衰退した理由でもある。


 今回のロシアの炭鉱事故のニュースを聞いて自分がまだ子供だった頃の日本の炭鉱事故のことを思い出した。しかし今「ボタ山」などと言っても、多くの若い人は分からないのだろう。





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国民の生活 

 「岸田文雄首相は2022年春闘に向け、経済界に『3%賃上げ』を要請する方針を固めた。複数の政府関係者が25日、明らかにした。首相は第2次安倍政権で定着した『官製春闘』を継承し、自身が重視する分配政策の具体化を図る。」


 このようなニュースを見たが、経済団体や大企業に「お願い」ベースで要請したところで労働者の賃金が簡単に上がるわけがない。このような方針など来夏の参院選にむけた口先だけの国民向けポーズに過ぎない。「分配政策」とは一体どんな政策なのだろう。安倍が散々言っていた「トリクルダウン」など、いつになっても庶民のところまで届かなかったが、岸田首相の「分配」は国民全員に平等に回るのだろうか?

 しかし本当にやる気があるなら、もっと実効性のある方法を取らなければ絵に描いた餅に終わるだけだ。たとえば内部留保が潤沢にあり賃上げできる余力が十分ありながら、賃上げを渋る大企業は法人税を上げるとかの方法だ。しかしつねに大企業優先の自公政権がそんなことは金輪際やるまい。

賃金上昇率B35

 このグラフは「G20の先進国における2008-2019年の実質賃金平均指標(基準年=2008年)」だ。

 韓国は20%、ドイツは15%、オーストラリアやアメリカも10%も上昇しているのに、日本をはじめイギリス、イタリアは逆に10年前よりも減少している。



 長く続いた安倍政権が調子のいいことばかり言いながら大企業優先を続けてきた結果、国民の生活は年々厳しくなってきたのが、このグラフを見ても一目瞭然だ。潤っているのは一部の富裕者層と大企業だけで、多くの国民の生活は変わらないどころか逆に悪くなっているのである。これを「悪政」と呼ばずして何と呼んだらいいのか。このような中で国会議員も地方議員も、優遇されている既得権を最大限に行使するばかりか不法なことばかりやっている。馬鹿を見ているのは所得の少ない国民だけだ。おまけにこのところの物価高で「庶民」の暮らしは増々苦しくなっている。


 リタイヤした自分にとって賃金の上昇などはすでに無縁になっているが、国民のための政治を一向にやらない政権に対する怒りは収まらない。今回の衆院選に無頓着だった人も来夏の参院選には正しい民意を政府に示してほしいものだ。自公政治も今の政治体制も明らかに間違っている。なぜ日本はこれほど貧しいのか。選挙で明確に民意を示さないかぎり、政府と大企業が結託したこの容認しがたい状況は何ひとつ変わらない。








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